ハイイロチョッキリ。
ある日、自然歩道を歩いていて、いつもと違う光景に出会いました。
どんぐりの付いた枝葉が散乱しています。
「なんやこれ?台風も来ていないのに」
「さては…」
見上げると周りは高木が覆い重なってどの木か分かりません。
一枝拾って調べてみました。
アカガシ。葉柄が長く、鋸歯が無く、葉が大きい。どんぐりの殻斗は毛に覆われ、ビロードのような手触り。
枝は「折れた」のではなく、誰かが「切った」ような切り口。
「ははーん」
裏返してみると、殻斗の境目辺りに穴が開いています。
「なるほど。柔らかい部分が分かるんや」
穴の開いたどんぐりが7個、開いていないどんぐりが2個付いていました。
穴の開いたどんぐりを切ってみると…。
小さな卵。
「やっぱり」
昆虫オトシブミの仲間の仕業です。
12年も前に友人のSさんからもらった「オトシブミハンドブック」文一総合出版(初版第1刷)を開いてみると、ありました。
ハイイロチョッキリ。
オトシブミ科チョッキリ亜科。8~9月頃、どんぐりに産卵し、葉の付いた枝ごと切り落とす。孵化した幼虫はどんぐりの中味を食べて成長し、外に出て、地中で蛹になるという。よく似たゾウムシもどんぐりに産卵するが、枝ごと落とすのはハイイロチョッキリしかいないそうだ。
海野さんのきれいな動画もありました。
実直な仕事をひたすら続けていのちを繋げる。小さな虫からまたひとつ、教えてもらうことがありました。(拾った枝とどんぐりは元に戻しておきました)