かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

山の庭・西の丘。

先日、「山の庭・西の丘」を訪ねて見ました。

その日はランチがあり、食欲不振の私がキャンセルした日。せめてお庭でも拝見と訪れたのです。

朝早いのに、Mさんは対応されてくださいました。

花菖蒲の説明を受ける私たち。

イベリスウンベラータという花にスジグロシロチョウが吸密しています。

ラミーカミキリタチアオイの葉にいました。

ニゲラの花。

ヤグルマギク

クレマチス

足もとにトノサマガエル。

ヤマアジサイにニッポンヒゲナガハナバチ♀かな?

ヤツシロソウ。

シモツケキョウカノコ。

コバノズイナにコアオハナムグリがいました。

シモツケの葉にヒメウラナミジャノメ。

ギリタリス。

オオヤマレンゲ。

ちょっと疲れました。

花はまだまだあります。

 

「花はヒトのために咲いてるんじゃない」と自負していた私ですが、考えを改めなくてはならないですね。自然のものと花園の違いはあるとしても、花をヒトに見せるためにどれほどの努力をされているのか、知っているようで、何も知らない私が恥ずかしいです。花は散ってもまだ花のいのちは続くのです。

Mさんを心から尊敬しています。

 

お客様がやってこられました。

ではきょうはこの辺で失礼します。

Mさん、ありがとうございました。

 

 

 

 

ササユリとサシバ。

雨ちゃんが車を出してくれて、宝池寺に向かいます。

境内に、1輪だけササユリが咲いていました。シカの食害から逃れた1輪です。

美しい。野生のユリの気高さ。

病気になって6年目。まさか今年も見れることができるなんて想像もしていませんでした。

尼住さんは私のために法螺貝を吹き、太鼓を鳴らしてくださいました。

 

そのあと、サシバの地点へ。

すぐに出現し、何度も確認できました。

同じような画像をずらずら並べるのは嫌な性格なんですが、今回だけは許してください。

口に咥えているのはトカゲかカナヘビでしょうか?

早ければ、6月下旬に巣立ちを迎えます。今が一番忙しい時期なんでしょう。

ああ、見れて良かった!地元茨木でサシバが繁殖している。なんてすばらしい事なんでしょう!

 

どれもこれも雨ちゃんのお陰です。

雨ちゃんがいなかったら、こんな幸せな気分にはなれなかったでしょう。

雨ちゃん、どうしてそんなに優しいの?

雨ちゃん、ありがとう。

生きていれば、良いことだって必ず訪れる。

トンボたち。

暖かい日の午前中に近くのお寺まで散歩に出かけた。

首には双眼鏡、肩から望遠レンズ。

たかが5,000歩のコースをてくてくじゃなく、トボトボと歩く。

途中、何度も休みながら。

「こんなに体力が無くなってるんや…」

鳥は殆ど見かけない。

このトンボは?

トンボは得意ではない。

翅の付け根が黒く、ツマにもうっすらと黒い部分。オオシオカラトンボの♀でいいのかな?

 

これは?

オオシオカラトンボの♂?

 

これは?

分からん。ショウジョウトンボの未成熟個体なのかな?

 

小さな池にヒツジグサスイレンか。

 

ヒツジグサは日本原産だがスイレンにも白色があるので、私にはどちらかが特定できません。

 

これは?

クロイトトンボ。ハートマークで交尾中。

 

えーっと、うしろが♀やったね。

 

さいごはアメンボ。アメンボ科は8亜科、60属、500種以上もいるので、パス。

ややこしいけど、前の1匹が虫を捕まえて吸汁中で、うしろから別の1匹が交尾中と言ったところか。

 

いつものように願をかけて帰ってきた。

疲れました。

 

 

 

余命。

「巾のある話は医師として持っています。巾があってどこに当てはまるかは分からないですが…」と前置きしながら余命を告げられた。

「夏は越せれるでしょう。年を越せれるかは五分五分、来年の桜は無理でしょう」。

診察室を出た私はしばらく歩けなかった。

涙が後から後から溢れてくる。

余命なんて、中央値。巾があるのは分かっていても…。

 

不眠症、腰の痛み、食欲不振、体重減少。

今出ている症状はがん本体からの症状。抗がん剤の副作用ではない。もう抗がん剤は効かないのだから。

 

私はどのようにして過ごせばいいのか。

 

元気なうちに野山を歩けるだろうか?

 

せめてせめて、あそこのササユリが見たい。

せめてせめて、あそこのサシバが見たい。

せめてせめて、渡りのハチクマが見たい。

せめてせめて、孫の顔をずっと見ておきたい。

せめてせめて、かみさんといろんな話をしておきたい。

 

そして、何よりあなたに会いたい。

会って、ハグしたい。

せめてせめて、ひとこと、「ありがとう」って言いたい。

 

ユキノシタ

窓から小さな坪庭が見える。

先代の残り物なのか、ユキノシタが咲いている。

風に揺れながら

花弁は5個。上3個は小さく立ち上がり,下2個は大きく垂れ下がる。
上側3個の花弁の中央付近には,赤い斑点があり,基部には黄色の斑点がある。
雄しべは10個が放射状に広がる。雌しべは2個で,子房のまわりを黄色の花盤が半円形に囲んでいる。

ユキノシタユキノシタユキノシタ

何度も呟いてみる。

名前の由来は冬でも葉を枯らすことなく,雪の下で耐えているからという。

ユキノシタユキノシタ

2階で孫が歌っているのが聞こえてくる。

ユキノシタユキノシタ

もしや、私に見せたくて咲いてくれているのか?

小さな声だけど、何かが聞こえてくる。

「おーい、元気出せよう」って。

こんなありふれた一日がいつまでも続きますように。

気が付けば、ひとすじ涙が流れていた。

ユキノシタユキノシタ

 

投稿

先日、朝日新聞の記者を名乗る人から電話が鳴った。

今回、「がんとともに」シリーズの原稿が採用されることとなったという。

何か月か前に、ボツになり、すっかり忘れていた。

ついてはその後の事情も含めて詳しい事を聞きたいという。

2、3のやりとりの後、ゲラ原稿が届いた。

さすが、新聞記者、抜かりのない完璧な内容だった。

「これで結構です。お願いします。」

「次の日曜日に全国版に掲載されます。」

何人かの友人から反応が届く。有難かった。新聞の力ってすごいなと改めて思った。

 

 

42年間。

昨日でかみさんが仕事を辞めた。

仕事は夕刊の配達。

42年間続けた。

当時は4才の娘を置いて、自転車に新聞を積み、団地内を配達した。

雨の日も、風の日も、台風の日も、雪の日も。時には買い物カートに入れ直して引きながら配達した。「新聞を待っている人がいる」。

42年間。

あなたは偉い。

当日、花束をこっそり用意して帰宅するなりあげた。

喜んでくれた。ハグしてくれた。

 

一言で片づけるつもりはない。

けれど、あなたは本当に偉い。

 

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