かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

キアゲハ誤産卵

キアゲハが翔んできて、お隣の植木に止まった。
あれ?何かしている。




産卵?まさか。
キアゲハはセリ科が食草のはず。


やっぱり。


この木は何だろう?


お隣さんに訊いてみた。
「○○さん、これ、何という木なんですか?」
「これはね、ハンカチの木って言うんですよ。」
「ハンカチの木?」
「はい、白いハンカチのような花が咲くんですけど、ここ数年前から咲かなくなりました。ボケたんですかね。」
「へー、そうなんですか。」

ハンカチの木。調べてみた。
ミズキ科の落葉樹。ぜんぜん違う。○○さんがボ…。まさか。

プランターの根元を見てみた。
ん?何かが切られて、その中から生えている。もしや。
切られたのがハンカチの木でその間から伸びたのが今の木?


今の木を検索してみた。
クロガネモチ雄株に行き着いた。
葉は互生で、中央で折れて舟形。小さな鋸歯。葉柄が黒紫。
鳥の糞から発芽したのだろうか?


○○さんも木が替わっているいることに気づかないでいるのかもしれない。

とにかく、セリ科でない植物に産卵するなんて。
あとで調べたら卵は3個みつかった。もっとあるはずだ。
周りにはセリ科の植物はなかった。
これって「誤産卵」?

大阪市立自然史博物館にメールで質問してみた。

> はじめまして。
> 教えてください。
> 一昨日、2017.9.5、キアゲハ成虫♀がお隣の植木に産卵していました。
> 樹種はクロガネモチ雄株かと思います(私の見地だけで、間違っているかもしれません)。
> キアゲハの食草はセリ科のはずですが、幼虫はクロガネモチも食べるのでしょうか?
> それともこれは誤産卵(間違って食草以外の植物に産卵する)といわれる行動なのでしょうか?
> またこのような行動はよくあることなのでしょうか?
> 卵は3個まで確認しました。
> 教えてください。
> 私のブログに記事として載せる予定です。
> 画像を2枚添付します。
> よろしくお願いします。


すぐに返事があった。

和田@大阪市立自然史博物館です。
質問のメールをありがとうございます。
昆虫研究室の長田学芸員に答えてもらいました。

長田学芸員の答え
──────────────────────────────
画像拝見しました。これは誤産卵で間違いありません。

キアゲハはクロガネモチは食べません。
誤産卵は、チョウ類ではいくつか報告されています。この場合、卵が孵化しても 幼虫は摂食できずに死亡してしまいます。

寄主となる植物のたまたま近くにある 別の植物に産卵する例もありますが、近くに寄主がない誤産卵の例もあります。
ただ、報告そのものは多くありません。
──────────────────────────────


ということ。
また疑問が。
親はどうして間違うのだろうか?
産卵刺激は物理的、科学的な刺激で起こるという。
視覚、触覚、嗅覚。かたちはまったくセリ科とは違う。匂いが似ていた?
分からない。
機会があれば、卵のその後を観察してみよう。

追記:産卵から5日後、卵はありませんでした。周りを小さなアリがウロウロ。餌食になったのかな?



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