かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

まるちゃん

今朝8時。
扉をたたく音。
こじろうが吠える。
かみさんが応えるとIさんが立っておられた。
まるちゃんが昨日、亡くなったという。
わざわざ報告に来てくださったのだ。
玄関先で二人してぼろぼろ泣いている。
 
まるちゃんはチワワの雌。
たしかこじろうと同い年の12歳。
こじろうよりも小さくて愛想が良くて可愛い子、
こじろうは大好き、
だった。
 
ちっちゃい頃の画像が見つかった。

 

 
散歩中に自転車にぶつかって大怪我をして、
なんとか一命を取り留めて、一時は元気になって、散歩で一緒になったこともあったが、やはりそれが原因だったのか。
命日が妻の誕生日と重なった。
 
「こじろう、また友だちが減ったなぁ…」
こじろうに話しかけるが、悲しいかなこじろうには分からない。
でも奥さんの泣き顔を見て何かあったに違いないと気づいただろう。
散歩を嫌がった時、「まるちゃんおるかもしれんよ!」と騙して連れ出した。そんな嘘も通用しないかもしれない。
 
犬ってなんだろう?
愛おしくて、我がままで、切なくて、単純で、しつこくて、裏切られても信じていて、悲しいほどに朴訥で。
 
こじろうに留守番を頼んで外に出る。
道中、同僚のOさんから頂いたCDを聴く。
「紅い花」ちあきなおみ
 
 ♪紅い花  想いを込めてささげた恋歌
 あの日あの頃は今どこに
 今日も消える夢ひとつ♪
 
なぜか今の心境にぴったりおさまった。
 
帰宅して、直ぐにこじろうを抱きしめた。

 

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