かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

たかが50余年。

たしかこの辺りでお花見をした記憶がある。

 
満開のサクラの木の前に母がいて、学生服姿の兄もいて…。
あの写真、何処へいったんだろう?
もう50年以上前のこと。
 
野池で兄と竿を並べて鮒を釣った。
餌はもちろんミミズ。
タナも取らない宙釣りで入れ食いだった。
開け放たれた窓から親父のラジオの音がかすかに聞こえてきていた。
もう50年以上昔のこと。
グラスファイバーの振り出し竿はどこかへ行ってしまったけれど。
その池の名は「尾広池」

 
今は柵が張り巡らされ、人影もない。
50年以上経った現在も何の因果か私はことしもこの池を見る。
それは幸か不幸か?
 
もう50年。いや、たかが50年。
変わり果てたものと、変わらないものと。
薄れかかる記憶と、忘れられない思い出と。
 
ひとはこんなふうにして年老いてゆくのだろうか?
 

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