かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

アマサギ かけす通信vol.187


 昼下り。炎天下の水田。アマサギ
どうして私はここにいるのだろう。
若い頃、誰もがそうであるように、私も「生まれ育った土地」から目を背けていた。
働く事と子育てに必死だった。
本気で世の中を変えようと思っていた。鳥なんかぜんぜん興味がなかった。

 時が経ち、周りが見え始めたある日、家の近くの野池の脇のクヌギに止まる鳥に出会った。白黒の鹿の子模様の小さな鳥で、それがコゲラだという鳥とも分からず、ただ単純に「きれい!」と思った。それが鳥へのきっかけだった。

 新聞記事で見つけた「探鳥会」は箕面。友人に借りた双眼鏡で初参加。
リーダーのそばを離れず、「…あれはハシブトガラスですね」に感嘆しきり。「なんでそんな事がさっと分かんねん!」見るものすべて初めての世界。シジュウカラ、ヤマガラ、ルリビタキ…あの時の感動が今も私を動かせる。

 あれから18年。私は鳥を見ることを生業にしてしまった。
最近、「私は鳥にはどう映るんだろう?」と考える。自分は味方と思ってても敵と見られているかもしれない。…私は味方だよ…。

 この歳になるまで、私はいろんな人に生き方を教わってきた。
そして多分あのコゲラシジュウカラにも教わったものがあると思いたい。
人間である事の意味は生き物たちがいるからこそ分かるのかも知れない。
みな「連鎖」というドラマの主人公なのだ。 

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