かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

シマフクロウ 「かけす通信」vol.185 (05/7/1)




 今年またひとつ夢がかなった。
シマフクロウがどうしても見たかった。道内で126羽しかいない天然記念物、コタンクルカムイ。4年前、道東のある橋の上で蚊に刺されながら粘ったけれど、聞こえてきたのは雛の声だけだった。
 ボーナスなんか出ない、自営業の4年ぶりの慰安旅行はマイルを使った格安旅行で実現した。航空券は私はタダ、妻は往復21,200円なり。
 この宿の前を流れる川にしつらえた生簀に魚を獲りに来るという。
夕食後、「ホホウー」と先ずは声が聞こえた。暫くすると♀がやってきて、続いて♂もきた。同宿のカメラマン達がセットしたフラッシュが一斉に光る。カメラマン達は車内から身を乗り出してシャッターチャンスを狙っている。私達は部屋からスコープと双眼鏡と肉眼で観察する。スコープからはみ出る距離。眼光が鋭い。睨まれているかのようだ。シマフクロウは魚を獲ると足で掴んで上流へと飛び去る。女将さんの話では今年は1羽雛が巣立ったそうだ。
 私は初めて見るシマフクロウに興奮していた。でもちょっと気分が違っていた。それは妻も同じだったようで、「見れたけど、アカショウビンの時ほど感激してないわ」その通りなのだ。アカショウビンの時は自分らの足で探して見つけられた。その喜びがあった。でもここのは違う。何の苦労もせずに見れるのだ。しかしシマフクロウの保護を考える時、餌の確保はどうしても必要なのだ。餌代が月3万かかるという。もう、こういう場所でしか見られないのかもしれない。                     
 幸い私達は翌日の別宿でも2羽見れた。結局、126羽分の4羽見たことになる。運を使い果たしたのかもしれない。

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