「このままじゃ、政治に殺される。」
5月11日、朝刊に見開きの全面広告が出た。
「このままじゃ、政治に殺される。」
衝撃的なコピー。
ひと昔前、あの「死ぬ時くらい好きにさせてよ」で広告賞を独占した宝島社。
新型コロナウイルスの蔓延からすでに1年以上が経過し、市民の努力にも限界があります。科学的な根拠・対策も明確に示されず、度重なる自粛要請を強いられるばかりの事態に警鐘を鳴らす必要を感じ、今回、企業広告を掲載したという。
写真は竹槍じゃない、日章旗を思い出させるとか、揶揄されているが、私は「よくぞ言ってくれた」と思っている。
【広告意図】
新型コロナウイルスの蔓延から、すでに一年以上。しかし、いまだに出口は見えません。マスク、手洗い、三密を避けるなど、市民の努力にも限界があります。自粛が続き、経済は大きな打撃を受け続けています。厳しい孤独と直面する人も増える一方です。そして、医療の現場は、危険と隣り合わせの状態が続いています。真面目に対応している一人ひとりが、先の見えない不安で押しつぶされそうになり、疲弊するばかりです。
今の日本の状況は、太平洋戦争末期、幼い女子まで竹槍訓練を強いられた、非科学的な戦術に重なり合うと感じる人も多いのではないでしょうか。
コロナウイルスに対抗するには、科学の力(ワクチンや治療薬)が必要です。そんな怒りの声をあげるべき時が、来ているのではないでしょうか。
10日の衆参両委員会の予算委員会で:
緊急事態宣言の効果は出ているのか、宣言の「出口」はいつか、東京五輪・パラリンピックは本当に開けるのか……。野党は様々な疑問をただしたが、菅義偉首相は質問と直接は関係のない答弁を繰り返すなど、質疑がかみ合わなかった。
「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じて、安心のうえ参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」
同じフレーズを語り続ける首相にその場はざわめいたが、首相は説明を変えなかった。
結局、首相は一日を通じて問われた五輪開催の是非には触れず、「国民の命と健康を守っていく」を計17回繰り返した。
「よし、五輪は大丈夫だ」と思った人はいないだろう。けれど菅じいさんはやる気だ。「7月中に高齢者ワクチン接種を終わらせる!」は信じていいのか?
72歳。肩を落とし、トボトボ歩くじいさんを見ていると、こちらまでしょぼんとなる。どうか、胸を張って、気を張って、元気な姿勢を見せてほしい。
時事通信が7~10日に実施した5月の世論調査で、菅内閣の支持率は前月比4.4ポイント減の32.2%、不支持率は6.9ポイント増の44.6%となった。支持率は政権発足後最低で、不支持率は最も高かった。不支持率が支持率を上回るのは5カ月連続。
今朝の日曜版にアンケート結果が載っていた。
「今夏の東京五輪開催に賛成ですか?」
はい19%。いいえ81%。
その理由として「はい」は
アスリートがかわいそう。様々な準備や施設が無駄に。が占める。
「いいえ」の理由は
人の移動で感染拡大が深刻化。未知のウイルスが国内に入りかねない。など。
アンケートは4月中旬に実施。
賛成の理由で目立つのは、五輪のために努力を重ねる選手への配慮。「人生を懸けて努力してきた選手が大勢いる。軽々しく中止しろとはとても言えない」
反対の理由では「復興五輪が打ち出された時、『そのお金を被災地に』と思った。被災地のみなさんが五輪に明るい光を見いだしていることを見聞きし、選手のみなさんの目標がついえることへの苦しさも感じた。費用を回収するためにも中止はあり得ないとも考えたし、昨春までは『やらないよりやった方が多くの人のためになる』と思った。でも今の現状で開催するのは無責任」と揺れる思いをつづる。
私は五輪開催に反対。理由は感染拡大が心配だから。
しかし、頑張るアスリートたちの顔が浮かんでくる。辛い。