2年が過ぎて
10月に入った。
Yさんから戴いた「東君平」カレンダーもあと3枚。
すい臓がんが見つかって丸2年。来月で3年目に突入する。
短かったようで、長かったようで、短かったようで。
この2年、どう受け止めていいか分からず、必死でもがいてきた。もがいてもどうしようもない事なのに。仕事の依頼は来なくなり、すっかり年金暮らしになった。
「もし」という言葉のうつろ 人生はあなたに一度 わたしに一度 俵 万智
もしあの時、あなたに出会っていなければ…。
もしあの時、違う職業に就いていたら…。
もしあの時、あの場所にいなければ…。
なんて、思っても仕方ない事をいくつも思い、もしなんて、考えてもどうすることもできないのに。「今」がすべてなのに。今の私を囲んでくれているすべての人に感謝せねば。
2月に抗がん剤が替わった。発熱がなくなり、むくみも治まり、体重も復活してきた。主治医の適切な判断に感謝。「よく頑張っておられますよ」の一言が胸に沁みる。
私のわがままに付き合ってくれたKさん、Tさん。「一緒に行こう」と背中を押してくれたT君夫妻。前立腺がんと緑内障に闘いながら、鍵を直してくれたY先輩。寝たきりのお母様の介護の合間を縫って天理までお守りをもらいに行ってくれたTさん。がんサロンで11年もの闘病生活を振り返り、「私はがんになったことに感謝します!」と仰ったMさん。その言葉が今もぐさりと心に残っています。「〇〇さん、生存率なんて気にしない!」と励ましてくれたソーシャルワーカーのIさんお二人。「たか見の広場」まで会いに来てくれたMさん夫妻。ことしも薬壺お守りを送ってくれたMちゃん姉妹。「元気そう!」久しぶりの探鳥会で会えたGさん、Kさん。お母様と愛犬を同時に亡くされたことを絞り出すように話してくれたKさん夫妻。そして誰よりも毎日、すぐそばにいて、顔をつき合わしているかみさん。すべての人に感謝しなくては。
今よりは良くならない。たぶん。
「オレが死んだらおまえも死ぬんだよ」って言い聞かせて「きょうぞんきょうえい」できたらいいな。一日でも長く。
我が家のリビングの壁にきょうも揺れるふくろう時計。往ったり来たり。どこかの知らない壁で兄弟たちが今夜も揺れているのだろう。そして明日も。
私も生きてゆかなくては。