かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

野良犬


日没間際の宿泊施設の駐車場。
一匹の野良犬がすわっていた。
「おいで、おいで」と手招きをするととぼとぼついて来た。
あばら骨が浮いている。
乳が張っているようにも見える。
私は何の躊躇もせず、そう何の躊躇もせずに
私のおやつのスティックパンを全部あげた。
彼女は1回も私の手からは食べようとしなかった。
地面に置いてやると食べた。
距離は一緒なのに。
野良犬のプライドなのか。
食べるのを見ながら
私は以前、六甲アイランドで出会った3本脚の野良犬を思い出していた。

彼らはみんな同じ目をしている。
ヒトに裏切られて、ヒトを信じられなくなった目を。

彼女は知る由もない。産まれてくる子供がひもじい思いをすることを。
そのことよりもこの空腹を満たすことが先決なのだ。
彼女に責任は何一つない。
責任はヒトにある。
…そうやって餌を与えるから野良犬が増えるのよ!…
どこからかそんな声が聞こえてくる。
でも私は身ごもった彼女を目の前にして、こうするしかできなかった。
あなたなら、どうしますか?

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