かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

ホソハリカメムシ

朝の水田。
8月に入ると稲が出穂し始めた。
6時、お爺さんが見回りに来る。

立ち止まっては両手で穂を挟んでいる。
「何ですか?」
カメムシや」
「へー」
「ほら」
手のひらを広げて見せてもらった。
「へーっ、こいつですか!」
「そうや、きりがないけどな」
「なんて名前なんですか?」
カメムシや」
「…」
 
標本にひとついただいた。
虫に詳しいNさんに鑑定してもらおう。

 
水田に目を凝らすと他にも見つかった。
ははあ、こいつか。初めて見たような。

 
その夜、Nさんに見せると、即「ハリカメムシかホソハリカメムシかな?」
さっそく検索。ホソハリカメムシ。見事にヒットした。さすがNさん。
 
ホソハリカメムシなどのカメムシ類が水稲の籾に口針を突き刺し,吸汁加害することにより発生するお米を斑点米という。
イネを食害する、農家にとって「害虫」の斑点米カメムシは何種類かいる。
収穫時にその斑点米が多く混入していれば、お米の等級も落ちるそうだ。
味は変わらないが、見た目に汚いのは良くないらしい。
 
斑点米カメムシの水田への侵入は米の出穂期と水田の周りの草刈り時期とが微妙に関係してくる。
水稲の出穂10日前までに草刈りを終えると,カメムシ類の水田への侵入を軽減できるそうだ。
地域内で協力して一斉に草刈りを実施すると,高い防除効果が期待できるという。
その後は草刈を行わず、薬剤による防除。薬剤散布は,穂揃期とそれから7~10日後の2回実施が基本で、これも地域一斉に実施する方が高い効果が期待できるという。
米作りは大変な作業なのだ。
 
美しい水田風景。
その陰で農家と「害虫」との攻防戦が繰り広げられている。

 

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