かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

お守り

私の病衣のポケットにはお守りが入っている。
 
友人らからわざわざ私のために頂いたもの。
 
その日は病衣交換の日。
朝に交換を済ませ、使用済み病衣箱に収めた。
 
午後から友人らが面会に来てくれ、妻も仕事を休んで来てくれた。
面会を見送り、夕食。
 
そしてはたっと気づく。
「お守りがない!」
病衣のポケットは空っぽ。
「あっ」
思い出した。着替えた時、抜き取るのを忘れたのだ。
「どうしよう…」
病衣箱の中の残っていた病衣を一枚一枚確認。
「無い!」これは他人のだ。
 
看護師さんに説明する。
「たぶん、午前中分はすでに回収されていると思われますが、明日確認してみます。」
 
ああ、神に見放されたか!
 
翌朝、看護婦さんが小走りでやってこられ、
「お守り、ありました!これですよね!」
「良かった、ありがとうございました」
深々と頭を下げた。
お礼にお見舞いに頂いた「どら焼き」を内緒でお裾分けさせていただいた。
 
私の不始末。猛省。
 
まだ見放されていないかもしれない。
 
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