福本清三さん
かの名作「ナイトスクープ」にも出られた、大部屋俳優「斬られ役」一筋。
72歳でまだ現役。
清三さんのお父さんは口数の少ない、手を抜かない人だったと言う。
「今思えば、不思議なおっさんですよ。ただ、一生懸命やれば人に認められ
るものができると、口に出さずに教えてくれていたのかもしれない。
僕は、一生懸命やれば誰かが見てくれている、そういう気持ちで生きてき
た。本当は、一生懸命やっても大部屋俳優のことを見てくれる人なんていな
い。分ってるんです。だからこそ逆に、一生懸命やらないといけない。自分
の子どもにもそれが伝わったらいいと思います。そんなの、口で言って教え
ることじゃないですよね。」
いい。この人いい!
私の親父は大工職人だった。
大工を引退したあとも、大きな病院の営繕として働いていた。
電動工具なんかなかった時代。自分でスピーカーボックスやレコードプレー
ヤーのターンテーブルなんかも作っていた。
親父の仕事場が近かったので、よく遊びに行った。見よう見真似で、端材で
ゴム鉄砲やら船やらを作って遊んでいた。
今でも「木」が好きなのはそのせいだろうか?
父から子へ。どこかで必ずつながっているものがある。