かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

山に帰ったシジュウカラ

仕事を終え、同僚のGAKUさんを迎えに県道を走る。
その途中、道路上に小さな物体。
「ん?またロードキルか?」
ここは迎えが優先。そのまままたいで通り過ぎた。
GAKUさんをピックアップ。
「GAKUさん、ちょっと戻ってもいいですか?」
「はい」
「鳥っぽい物が落ちていたんです」
「ああ、いいですよ」
Uターンして現場へ。
まだそのまま落ちていた。
シジュウカラだった。
GAKUさんが拾い上げると、バタバタ動いたがすぐに静かになった。
眼は閉じたまま。


「脳震とうだけと思うけど。暖めたら復活するかも」
しばらく考えた結果、宿に持ち帰ることにした。
助手席でGAKUさんが手に包んでいる。
「巣探しで夢中やったんかなぁ…」

同僚のGAKUさんは標識調査の資格も持っておられる。

宿に着いてGAKUさんから袋を借り、袋に入れてエアコンの効いた部屋で暖めた。


約15分後、様子を見ようと袋から出すと、いきなり窓に向かって飛んだ。脱糞もして。
「もう大丈夫だろう」
再び袋に入れ、それをダウンジャケットのポケットに入れ、車で再出発。
事故現場の県道まで放しに行くのだ。
小さな鳥は長距離飛べないし、テリトリーがある。
ましてや今は繁殖時期。もと居た場所に放してやるのが一番良いと考えた。
17時20分、夕日が落ちる。日没が近い。

約15分で現場へ。近くでシジュウカラの声。相方か?
袋から出して最後の記念撮影。
可愛い。君の温もり。


放してやると山に向かって飛び立ち、斜面に着地。しばらくして再び飛び立ち、林内へ入っていった。最後にこちらを振り向いてくれた。

良かった。もう陽が沈む。


宿に帰り、GAKUさんに報告。
「良かったですね。あのままやったら踏み潰されていたかも」
「そうやね、早く拾ってやって良かったなぁ」

シジュウカラ メスだった。

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