かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

こんど、生まれ変われるとしたら
木になりたい

 
小さな池のほとりで
若葉を出し
花を咲かせ
実をつけて
空に向かって手を広げる
木になりたい
 
いつか手に鳥が止まるだろう

 
虫が葉をかじるだろう

 
樹液を吸うだろう

 
実を啄ばむだろう

 
誰かがその幹に相合傘を彫るだろう
雨風にさらされてその浅い傷も消えてゆくだろう
 
そこにあっても なくても
誰も喜んだり寂しがったりしない
木になりたい
 
この地に根を張り動かない
これが根性というものだ
いつか伐られて倒れても動けない
それが意気地なしというものだ
その端くれで誰かが時計を作るだろう
時は止まらない
たとえ木が倒れても
 
池のほとりの小さな木に呼びかける
おまえは偉い

 
 
 
 

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