かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

千夏へ

昨夜は雨が降ったみたい。
今朝は濡れた道をこじろうに急かされながら散歩したよ。
団地の桜はもうじき満開だ。

 
こじろう、きょうは元気。きのうは下痢だったけど。
すたすたと「田んぼ」へ。
畦でマーキングしようとして足を滑らせて田んぼへ落ちた。思わず笑ってしまった。こじろう、ばつが悪いのかすぐにその場を離れ戻ってきよった。
12年前、君が飼いだしたこじろう。
今は置き土産になったけど、大事な家族の一員だ。
 
補助車を押すお婆さんとその後ろから見守るお爺さん。
今朝も会ったよ。お婆さんは無心に車を押している。こじろうの姿も目に入らない。押しては少し立ち止まり、また押して。後ろのお爺さんは手を出さない。道路の奥まで行っては引き返す。そこで爺さんは煙草を一服。きのうと同じ光景だ。
 
私たちがあんなふうになるのにどれくらいの時間がかかるのだろう?
たぶん、それほどかからないだろうね。
 
きのう、カーラジオでSIONという歌手が歌う「がんばれ がんばれ」という曲を初めて聴いた。君は知っているだろうね。不覚にも涙が溢れてきた。
助手席にお母さんがいなかったから「泣きみそ!」って言われずに済んだけど。
 
♪いつでもここにいるから
帰って来ていいんだよ
そう思えばあとひとつふたつ
できる我慢もふえるでしょ
がんばれがんばれ♪
 
多分、母から息子へのエールだと思うけれど、
なんかこの「がんばれがんばれ」はいいね。
 
保母さんになる夢を叶えて、そのあと突然、
「ケーキ職人」になるとひとり暮らしを始めてもうすぐ2年。
あれからいっぱいいろいろあったけど、声なきエールをいつも送っているよ。
 
いつでも帰っておいで。こじろうも待っている。

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