かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

モリアオガエル

「もり・あお・くらぶ」から会報が届いた。
6月の例会はモリアオガエルの泡巣の観察会。
行きたいけど今年も仕事で参加できない。会報ではもうすでに産卵が始まっているとある。
「1週間早いけど、ひとりで行ってみるか」

久しぶりの萩谷総合公園
きょうはサッカーの試合があるらしく、子供らが広場で練習をしている。
この子らはこの土の下に小さな池があったことを知る由もない。

野球場とサッカー場にはさまれた旧東海自然歩道跡の調整池にモリアオは産卵していた。



卵塊を数えると20個以上ある。



双眼鏡でくまなく探すと成体(カエル)が見つかった。
朝の9時を回っているのに雌に雄2匹が抱きついている。近くに別の雄もいる。昨夜産卵して休んでいるのだろうか?空梅雨で調整池の水が干からびずにあればいいのだが。
突然、サッカー場からスピーカの大音響。



この公園ができる前、ここには棚田が存在していた。
50種ものシダ類が自生し、中でもオオハナワラビ(ハナワラビ科)というシダは100株を超えていた。
オオヒキヨモギゴマノハグサ科大阪府絶滅危惧種)という植物、エノキの大木が点在し、国蝶オオムラサキ(タテハチョウ科大阪府絶滅危惧種)も飛び回っていた。
そして小さなため池にはモリアオガエル(アオガエル科大阪府絶滅危惧種高槻市の保護指定動物)が産卵に来ていた。
なんでこんな山奥に野球場、サッカー場は要るのか、いくら考えても解らなかった。
あれから14年、私たちのモニタリング活動は今も続いている。

こんな経緯を知らなくても普通に暮らしていけるだろう。
ここにモリアオガエルがいることなんかも関係ないだろう。でもでも…。
私は違うと思う。知ることと、理解することができれば生き方をも変わるんじゃないかと思う。
私たちは沢山いる生き物の中のひとつにすぎない。
恩恵と犠牲の連鎖でつながっている。そのことを少しでも理解すれば、生き物に対して今よりもっとやさしくなれると思う。

野球場とサッカー場から流れるスピーカのアナウンスを聞きながら、モリアオの卵は育ってゆく。


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