かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

親父に会いに

きょう、親父に会いに行った。
親父が介護施設に入所して1年半。
ことし95歳。
自力で歩け、今のところ元気。
ただ痴呆が進み、私が誰だか判らない。
「おまえの息子やないか!」
「おう、そうか!」
「覚えといてくれやな困るなあ」
「よっしゃ、ちゃんと覚えとく!」






部屋はおしっこ臭い。
けつまづいて顔を打つ。
小さなごみを口にする。
でも今でも箸を器用に使える。
自分の名前と歳を書ける。
昔飼っていたメジロの雌雄の見分け方を今でも覚えている。

ここの施設はホテルのロビーのようなたたずまい。
エレベーターには「故障中」の張り紙。
入所者が使わないように暗証番号もある。
年金と貯金でなんとか生活できているが、
次第に目減りしてきている。



歳はとりたくはない。
でも必ず老いは来る。
あと10年後、20年後、
私の老後はどうなるのか。
先立つものは何にもない。
誰にも迷惑かけずにぽっくり逝きたいのだが。

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