かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

スカシダワラ



生き物にとって当たり前の行為がヒトには驚異に映ることがある。

冬枯れのこの時季は繭の抜け殻が目につく。
木枯らしに吹かれて小枝で揺れている。

雑木を歩いているとスカシダワラが落ちていた。
クスサンの繭の抜け殻。
クスサンは大型の蛾で、いろんな葉を食べ、クリ農家にも被害を及ぼす。
虫除けの樟脳の原料であるクスノキすらも食べるからクスサン。
別名シラガタロウ、シラガダイオウ。
幼虫の絹糸腺を取り出して釣り糸の天蚕糸(テグス)を作ったくらい、強度があるらしい。
このスカシダワラ、名前の通り透けている。
なぜ透けているのだろう?
幼虫は梅雨から夏にかけて蛹化。高温多湿期の回避策なのか。
その造りはあたかも工芸品のようで美しい。
ヒトの嫌がる毛虫が作り出したとは想像もできない。

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