かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

ブナ林



重いザックを背負い、
急斜面を息を切らして登りつめると、
静かな林が迎えてくれた。
ガスが漂っている。

 太郎を眠らせ
 次郎を眠らせ

私には妻がいて子がいて孫がいて、寒がりで脂肪肝で。
そんなことはここに来ればどうだっていい。
来るものはすべて受け入れ、
去るものもすべて受け入れる。
何も言わない存在感。
やわらかなブナが好きだ。
 
 太郎を眠らせ
 次郎を眠らせ

もうすぐ雪に覆われるだろう。
私もここで眠りたい。

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