ゲンジの思い出
私の本棚に古い2冊の図鑑がある。
講談社の「こどもカラー図鑑」「昆虫」と「植物」
むかし、息子が愛用していたものを捨てずに今も使っている。
その息子はことし34歳…。
息子が小さかった頃、夏休み、早朝。
息子を連れて「ゲンジ採り」に出かけた。
ここ北摂界隈ではクワガタムシやカブトムシのことを「ゲンジ」と呼んでいる。
運が良ければカブトやヒラタ、コクワやミヤマが採れた。
因みにヒラタクワガタは「ホンゲンジ」、コクワガタは「オバケ」、
ミヤマクワガタは「ジュウバコ」、ノコギリクワガタは「ウシ」と呼んだ。
一度だけオオクワガタを採ったこともあった。
そんなこと、息子は覚えているだろうか?
きょう、近くの台場クヌギを覗いてみた。
小さなカブトの♂が一匹付いていた。
「昆虫」図鑑のゲンジのページ。
拙い字の落書き。
「ぼく1ぴき、としくん2ひき」
とりとめもない思い出を引っさげて
私は老いてゆく。