ハンドメイド雑貨 遊
たとえばこんな、街の公園で風に吹かれながら音楽を聴いて一日をのんびりと過ごせたらいいな。と思う。
そんな場所なのだ。ここは。
茨木音楽祭。「森の散歩市」に初めて出店した。
天気は上々、昨日までの曇り空がうそのよう。
新緑の中にぽつりぽつりと個性的な店(マルシェ)が点在する。
私たち親子の屋号は「ハンドメイド雑貨 遊」
店のレイアウトはこんなふう。目線、動線、レイアウトは難しい。
さっそくのお客さん。「木製押しピン」が売れた。ひとつ100円。
娘は手鏡、マカロンケースなど。
かみさんはブローチ、ヘアゴム、リースなど。
みんな手作り。
ふくろうストラップ、ふくろうキーホルダー、枝止まりふくろう、蔓篭、木製押しピン。
みんな私の手作り。
一針一針。一編み一編み。一彫り一彫り。
好きな言葉だ。
森の公園ステージでライブ演奏が始まる。
パンフによればみなアマチュアバンドらしいが、ここの場所ならそのほうがいい。
1時間交代でいろんなミュージシャンが。
音楽に乗ってお爺さんが踊りだす。
「おじいちゃん、いくつ?」ミュージシャンがアドリブで突っ込む。82歳だそうだ。
女性ソロの中島みゆきの「糸」カバーが良かったな。名前は忘れた。
ギターを抱えた「スナフキン」が木に登って歌いだす。
曲調はスナフキンではなかった。たんなるぼやきか、砂吹かんか?
ある女性のお客さん。キーホルダーのふくろうをしばらく物色されて、選んだのは初期に彫った物。
「これは地元の山で拾った枝で彫った物です。堅くて苦労したんです」
「そうでしょうね、苦労のあとが見えます」
鋭いその選別感。脱帽。
「たまちゃん」も来てくれた。ひやかしでよかったのに、ふくろう、マカロン、ブローチ、蔓篭などいっぱい買ってくれた。嬉しかった。
持つべき者は友達。ありがとう、たまちゃん!
こんど「釜玉」おごる!
終わり近くにかみさん作のバラのブローチとヘアゴムが売れた。
そのお客さんは迷うことなく、そのバラセットを手に取られた。
嬉しかった。私も嬉しかった。これはこだわりのバラ。かみさんと固い握手をした。
娘からの提案で作った木製押しピンも好評だった。
山で拾ったコナラ、ネジキ、ヤマザクラなどの枝を輪切りにし、穴を開け、針を刺し、接着し、手の込んだ品。木の温もり、手作りの良さ。
バケツに水を張って軟らかくしながら、店先で編んだ蔓篭も完売した。
「これ、さっき編んだとこなんです」
「あ、そう。なんでか私の手に300円あるわ!」
手を叩いて笑った。
すこし埃っぽくなってきた店先に私はその残り水を撒いた。
結局、多くのお客さんが立ち寄ってくださり、たくさん売れた。
嬉しかった。単純に嬉しかった。作者冥利というものか。
そして誰一人、値切る人はいなかった。これが「ガレージセール」との大きな違いか。
さて、これから。
私は何を作ろうか?