かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

8月15日

8月15日。
昼、インスタントラーメンを作った。
黙祷するのを忘れて。
なかなかの上出来。
かみさんは汗を拭きながら「美味しい」と言ってくれた。



食後、見舞いに行った。
親父は口を開けたままで、大きく深呼吸を続けている。
「おーい、○○○やで、分かるか?」
反応がない。
右目だけ半開きになるが、追ってはいない。
看護婦さんによると、酸素の吸入率は良いが二酸化炭素の排出が悪いと言う。
要するに肺機能が低下しているらしい。
そうこうしていると兄夫婦とその子供家族がやって来た。
病室が急に狭くなる。
姪が持ってきた花が置いてがあった。



8月15日。終戦記念日
親父は病室で迎えたことになる。
親父は海軍で兵長だったとむかし聞いた。
玉音放送は何処で聞いたのだろう。
もっと戦争のこと、聞いとけばよかった。
今ではそれも無理なはなし。

当たり前のことだが
親父が生きていたから私がいまこの世にいる。
親父が生きていたから私たちがいまこの世にいるんだ。
当たり前だけど、大事なこと。

「おーい、みんな来たで!」
もいちど聞いてみた。
声は聞こえなかったが、
「うんうん」とうなずいたような気がした。

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