かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

おふくろ


 今日はお袋に会いに行く。高槻の介護施設「けやきの郷」に入所してもう何年になるだろうか。
おふくろは股関節骨折でベッドと車椅子との殆ど寝たきり状態。会話もままならず、応答が精一杯。
「分かるか、三喜夫やで」眉間に皺を寄せてしょぼしょぼの目をして、見えているのか、寝ているのか分からない。食べこぼしのこびりついた車椅子を拭き、伸びた指の爪を切ってやる。右手は殆ど動かせず、指も爪もふやけていて簡単に爪が切れた。妻が顔を拭いてやると、気持ちよくなったのか、いびきをかいて眠り始めた。お袋はもうすぐ85歳になる。帰り道、田んぼのあぜに彼岸花が咲き乱れていた。

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