秋のタカの渡り。
タカの渡りファンにとっては待望の季節になりました。
毎日が観天望気の日々です。
「私の住んでいる町の上をタカが渡ってゆく」。なんと感動的なことでしょう!
だから私はこの町にこだわって、地元で見続けるのです。
しかし、山や丘陵地は開発、造成され、道路や物流倉庫が林立しています。
むかし、ここはオオタカの営巣地だったはず。オオサンショウウオは何処へ行った?アジメドジョウは?カワガラスは?ヤマセミは?フクロウは?
何もなかったかのように、クレーンが立ち並び、車の騒音は昼夜を問わず響き渡る。
それでも彼らは日本列島へやって来て、繁殖を続ける。まだ大陸と地続きだったころから連綿とつながる習性と知恵を絞って…。わがままなヒトよりずっと彼らは先輩なのだ。
晴れの日。優しい山並み。
ことしも来たよ。よろしく。
ハチクマとサシバが旋回しています。
小さな群れ。大きめのはハチクマ?
遠くにタカ柱。
サシバ幼鳥。
幼鳥とは今年の春に卵から孵って、夏に巣立った幼い鳥。胸の縦班で識別できます。羽も欠けずにきれい。
ノスリ。
ハチクマ幼鳥。
羽は欠けずにきれいです。
ハチクマ成鳥メス。
成鳥とは繁殖可能な大人の個体。ハチクマの成鳥は雌雄を羽の模様で識別できます。鳥の羽は1年を通じて「換羽」していきます。古い羽から新しい羽に換わるわけです。この個体は初列風切のP5が両翼とも「伸長中」です。初列風切は「指」のように見える部分で、外側から内側へP10→P9→P8→P7→P6→と数え、6枚目P5が短く見えます。これは新しい羽が伸びる途中なのです。またその内側にある左次列風切にも凹んで見える所があります。
ハチクマ成鳥オス。
オスは風切外側に黒い縁と、尾羽にも2本の黒い帯が出ます。この個体もP5が伸長中です。
これもハチクマ成鳥オス。
ハチクマは羽の模様や色に個体差があり、見ていてとても面白いです。この個体は右P4が伸長中でしょうか?左は1本抜けているような気がしますが、はっきりしません。
ハチクマは東南アジアで越冬します。その距離片道約10,000km。途中、五島列島福江島から600km離れた中国大陸まで、一気に東シナ海を越えるといいます。
彼らを見ていると、目と目が合う時があります。その時、確かにつながっている!と思うのです。彼の選んだ森林と、これから向かう南の森のことを想像する。そして「頑張れよ」と静かにエールを送る私がいます。