かけす・くらぶ

身近な生き物たちの出会いと「すい臓がん」闘病記

海を渡るチョウ 「かけす通信」vol.128から



アサギマダラ。秋の空をひらひらと飛んでいます。
タカの渡りを見ていると、よく見つけてしまいます。
先日の日の岬でも紀伊水道に向かって飛んでいるのをたくさん見ました。
対岸の四国をめざして…。

アサギマダラはタテハチョウ科マダラチョウ亜科に属し、羽を広げると10㎝位の浅葱色の班紋様が美しいチョウです。

このチョウ、春から夏にかけて標高1000~2000mの高原で繁殖し、秋には南下、次の世代が春から夏にかけて北上し、再び高原地帯に戻るという生活サイクルを繰り返していて、小さな体で海を渡って1000㎞も移動するといいます。
たとえば愛知県常滑市でマークされた個体が26日後、与論島で再発見(1183㎞、秋の南下)、種子島でマークされた個体が46日後、福島県白河市で再発見(1200㎞、春の北上)など。

でも不思議です、
・なぜその地に適応することをやめて、危険の伴う旅をするのか?
・いつどこから、どこを通って、どこへ行くのか?
・そのパワーとエネルギーはどこからくるのか?
・旅をする気にさせるのは何なのか?
・行き先をどうして知るのか?
・夜は?雨の日はどうしているのか?
・そして、つらくはないのか? 
 
アサギマダラのことなんか知らなくても人は生きてゆけます。
でも生き物たちへの愛や夢やロマンは生まれてこないでしょう。
リスクの高い宿命を負いながらも、偏西風にあおられながらも、けなげに飛び続ける姿を見ると、ついつい声援したくなります。

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